数量
植林本数本
/
小計(税別)
数量
植林本数本
/
小計(税別)
1日の始まりは羽釜でお米を炊くことから 浅野さんのお家は、3階建ての一軒家。今年の6月にリノベーションが完了し、住み始めたばかりなのだそうです。浅野さんの1日の始まりは、羽釜でお米を炊くところから。「朝はいつも7時くらいに起きて、まずお米を炊きます。羽釜を使ってるんですけど、これが本当にオススメで。使い方も簡単で、20分くらいですぐ炊けるし、おいしいのでもう手放せなくなりました」*2階にあるキッチン。タイルは、こだわりの赤目地 「私も友達に教えてもらったんですけどね(笑)」と軽やかに笑う浅野さんに、朝食のお決まりのメニューを聞いてみると、「ご飯とみそ汁」とのこと。羽釜で炊いたご飯と、冷蔵庫の余りものでサッと作ったみそ汁を食べながら、仕事のメールをチェックするのが浅野さんの日課なのだとか。朝7時からそんなにテキパキと動いているなんて……という視線を向けると、「でもパジャマのままですからね」とのんびりした言葉が返ってきました。キッチンスペースの中央には、特徴的なL字のカウンターテーブル。仕事で作っているレシピの撮影に加え、普段の食事を行なうのもこの場所です。ここには、コンパクトなキッチンスペースを最大限活用するためのアイデアが詰まっていました。 *カウンターテーブルの下は食器棚に「うちみたいに縦に細長い家だと、アイランドキッチンにするのは難しいんです。かといって、この空間にダイニングテーブルを置いてしまうと、狭いし圧迫感も出ちゃうじゃないですか。それで、一体型のカウンターテーブルを作ってもらったんです。料理を作って振り返ると、そのままカウンターで食べられるので便利ですよ。カウンターの内側を広く作っているので、両サイドから囲んでダイニングテーブルのように使うことができるのも気に入っています!」*大好きな「アーチ」を象った棚は、お気に入りのアイテムを並べるディスプレイ棚 「キッチンのトーンは、『美菜屋』と合わせてピンクを基調にしています。サーモンピンクに近い色ですね。このインパクトある壁紙はアメリカのブランドなんですけど、実は『美菜屋』の2階でも同じブランドの壁紙を使ってるんです」幾何学模様がかわいい壁紙ですが、いざ貼るとなると思い切りが必要だったはず。ところが、浅野さんは「派手ですよね。でも壁紙だから、イメージと違ったり、飽きたりしたら剥がせばいいんですよ(笑)」と朗らかな答え。「むしろ、部屋の中で壁紙が一番思い切って変えやすいんじゃないですかね。私は基本的に壁紙は変えたいタイプです。ただ、私はめちゃくちゃ感覚で考える人間だから、本当にその時の気分で選んでます。もしちょっとでも違う気分だったら、この壁紙になってなかったかもしれないですね。なんというか、ご飯を食べるときも『いまこれがめっちゃ食べたい』という欲求に従うようにしていて。それは、体が必要だから求めてると思うんです。健康的なものを食べたいときは栄養が足りてないときだし、甘いものを食べたいときは脳が疲れてるときみたいな。なので、モノの選び方も直感に従うようにしています」 友達のブランドや、好きな色・形が集まった部屋 キッチンの反対側にあるリビング。自然光がよく入り明るいため、気持ち良く過ごせそう。東京に多い細長く縦長の住居は、注意しないと部屋に圧迫感が生まれ、狭く見えてしまいがちですが、浅野さんの部屋は「収納家具を置かずに、壁に棚を造作」したことで、広く、スッキリした空間となっています。「この中では、ラグが一番気に入っています。友達が作っているんですけど、『STUDIO THE BLUE BOY』というブランドです。ラグだけじゃなくて、ホームウェアやクッション、お香まであって、全部かわいいんです」「インテリアは、『ここさえ押さえておけば大丈夫』というブランドを自分の中で5つくらい持っていて。部屋作りのベースは、そういったブランドで作ってますね。でも、友達のブランドから買うことも多いですよ。ソファに掛けてあるタオルブランケットも『MYTONE』という友だちのブランドなんです」そういったブランドは、どうやって見つければいいのか。浅野さんが活用したのは「Instagram」。「普通に『地名+〇〇』みたいに、いろいろなキーワードで検索して、1回1時間くらいずっとリサーチします。ブランドだけじゃなくて、飲食店とか宿も同じように探してますね。気になったとこは、全部『Google Map』に保存しておいて、実際に行く。このとき、行った場所は『Instagram』のストーリーズにも載せるようにしてるんですけど、これは友達にも教えたいってのもあるし、投稿を見た友達が『ここもオススメだよ~』って逆に教えてくれることもあって、良いですよ。ありがたいです」*ただ可愛いからと買った照明。届いてみたら「想像以上に大きかった」そう「あとはブランド関係なくですが、私は『部屋に合うかな』とか、『この場所に置こう』とかは、買うときにはあまり考えてなくて。見た目が可愛ければ買っちゃいます(笑)」やっぱり直感的なモノの選び方をしている浅野さん。しかし、「部屋に合うかは考えてない」とは言うものの、ハッキリとしたまとまりを感じるこの部屋。何がこの部屋を調和させているのでしょうか。「たぶん、好きなテイストが自分の中で固まってるから、好きなモノを集めていったら自然と似たテイストにまとまったのかなあ。改めて見てみると、全部バラバラに買ってるはずなのに、曲線が多いとか、似た形が多いですね」「あとは、カラフルなアイテムが好きで。もともと緑とピンクが好きなんですけど、最近はそこにオレンジや黄色を加えたくなって。このカラーリングは自分の中ではよくやりがちですね」 全部経験になると考えると、失敗なんてない 直感を信じて物事を決めていく浅野さんですが、感覚的に道を選んでいるがゆえに想定とは違う道に人生が転がり出すことも珍しくありません。それは、この家のときも。「『美菜屋』を始めてからずっと怒涛の日々だったので、自分のための時間が作れていなかったんですよね。でも、『美菜屋』が組織化されて、私がいなくてもお店が回るようになった今なら、1人の料理家としてもっと自分の料理の研究ができるなあと。この家を職場兼自宅として、ここで自分用のお弁当をたくさん作ったり、いろんなバリエーションの食事を作ったりして生活してみたい。そう思って、デザイナーさんに内装を相談しながら作り上げたのがこの家なんですけど……完成してからすぐに2拠点生活を送ることになりまして、家にいる時間は少ないんです(笑)」 *3階にある衣装部屋。服を片づけるのが苦手なため、オープンクローゼットにしているそう実は浅野さんは、今年の8月に結婚したばかり。愛媛県でみかん農家を営むパートナーとの生活のため、現在は愛媛と東京の2拠点生活をしています。自身でも「まさか愛媛に行くなんて」と笑ってしまうほどの生活の変化ですが、それをえいやと飛び越え、新しい人生の道へと走り出すことができる強さが、浅野さんにはあります。それは「失敗を失敗とさせないようにしてる」からなのだそうです。「『美菜屋』を始めた頃は、いろいろな不安を抱えていた時期でもあって、意識的に新しいことに挑戦をしていました。その一つが「走ること」で、初めてフルマラソンに挑戦して、完走したんです。正直、完走なんてできないと思っていたので、走り切れたときは自分にすごく自信がつきました。それからは、何でもやってみようという気持ちになって、失敗を恐れずに飛び込めるようになりました。そのうち、自分の現在地もこれからの未来もすべて過去の行動や挑戦と繋がっているんだなと思ったんです。そう考えると、失敗なんてないんですよね。全部経験になるんだから」浅野さんのあり方は、楽観的に見えるかもしれません。しかし、だからこそ自分の直感を信じることができる。「リビングにある植物とか、買ったはいいものの、いざ部屋に持ってきたら高さがありすぎて入らなくて、切ったんですよ。失敗したかって思いましたけど、意外となんとかなるんですよね(笑)」 実際に体験して、感じたことが「自分だけの感性」 「実際に体験してみることが大事」と浅野さんは言います。「本やネットを通して知っているだけじゃ分からない感覚ってあるんですよ。だから、何でも実際に体験することが大事です。いろいろな場所に行って、体を動かしたり、見たり、人と話したりして、感じたことが自分だけの感性になるんだと思います。私も誘われたら何でも行きますし、周りのセンスが良いと感じる人たちもみんな、活動的な人が多いですね」難しいのは、そのきっかけをどう掴むか。浅野さんにとって、それはフルマラソンでした。「その人なりのスイッチが、きっとどこかにあるはず」失敗を恐れずに、まず行動してみること。浅野さんの纏うほどほどにゆるく、軽やかな空気感は、たくさんの行動の積み重ねから生まれているのかもしれません。「失敗なんてない」と聞くと、自分の普段の生活の範囲内からでもいいので何か新しいことに挑戦してみたくなります。「意外となんとかなる」と楽観的に考えることは、自分の生活に彩りを加えるアイデアだなと、感じました。 文:Daiki Hayakawa 編集:Takumi Inoue...
1日の始まりは羽釜でお米を炊くことから 浅野さんのお家は、3階建ての一軒家。今年の6月にリノベーションが完了し、住み始めたばかりなのだそうです。浅野さんの1日の始まりは、羽釜でお米を炊くところから。「朝はいつも7時くらいに起きて、まずお米を炊きます。羽釜を使ってるんですけど、これが本当にオススメで。使い方も簡単で、20分くらいですぐ炊けるし、おいしいのでもう手放せなくなりました」*2階にあるキッチン。タイルは、こだわりの赤目地 「私も友達に教えてもらったんですけどね(笑)」と軽やかに笑う浅野さんに、朝食のお決まりのメニューを聞いてみると、「ご飯とみそ汁」とのこと。羽釜で炊いたご飯と、冷蔵庫の余りものでサッと作ったみそ汁を食べながら、仕事のメールをチェックするのが浅野さんの日課なのだとか。朝7時からそんなにテキパキと動いているなんて……という視線を向けると、「でもパジャマのままですからね」とのんびりした言葉が返ってきました。キッチンスペースの中央には、特徴的なL字のカウンターテーブル。仕事で作っているレシピの撮影に加え、普段の食事を行なうのもこの場所です。ここには、コンパクトなキッチンスペースを最大限活用するためのアイデアが詰まっていました。 *カウンターテーブルの下は食器棚に「うちみたいに縦に細長い家だと、アイランドキッチンにするのは難しいんです。かといって、この空間にダイニングテーブルを置いてしまうと、狭いし圧迫感も出ちゃうじゃないですか。それで、一体型のカウンターテーブルを作ってもらったんです。料理を作って振り返ると、そのままカウンターで食べられるので便利ですよ。カウンターの内側を広く作っているので、両サイドから囲んでダイニングテーブルのように使うことができるのも気に入っています!」*大好きな「アーチ」を象った棚は、お気に入りのアイテムを並べるディスプレイ棚 「キッチンのトーンは、『美菜屋』と合わせてピンクを基調にしています。サーモンピンクに近い色ですね。このインパクトある壁紙はアメリカのブランドなんですけど、実は『美菜屋』の2階でも同じブランドの壁紙を使ってるんです」幾何学模様がかわいい壁紙ですが、いざ貼るとなると思い切りが必要だったはず。ところが、浅野さんは「派手ですよね。でも壁紙だから、イメージと違ったり、飽きたりしたら剥がせばいいんですよ(笑)」と朗らかな答え。「むしろ、部屋の中で壁紙が一番思い切って変えやすいんじゃないですかね。私は基本的に壁紙は変えたいタイプです。ただ、私はめちゃくちゃ感覚で考える人間だから、本当にその時の気分で選んでます。もしちょっとでも違う気分だったら、この壁紙になってなかったかもしれないですね。なんというか、ご飯を食べるときも『いまこれがめっちゃ食べたい』という欲求に従うようにしていて。それは、体が必要だから求めてると思うんです。健康的なものを食べたいときは栄養が足りてないときだし、甘いものを食べたいときは脳が疲れてるときみたいな。なので、モノの選び方も直感に従うようにしています」 友達のブランドや、好きな色・形が集まった部屋 キッチンの反対側にあるリビング。自然光がよく入り明るいため、気持ち良く過ごせそう。東京に多い細長く縦長の住居は、注意しないと部屋に圧迫感が生まれ、狭く見えてしまいがちですが、浅野さんの部屋は「収納家具を置かずに、壁に棚を造作」したことで、広く、スッキリした空間となっています。「この中では、ラグが一番気に入っています。友達が作っているんですけど、『STUDIO THE BLUE BOY』というブランドです。ラグだけじゃなくて、ホームウェアやクッション、お香まであって、全部かわいいんです」「インテリアは、『ここさえ押さえておけば大丈夫』というブランドを自分の中で5つくらい持っていて。部屋作りのベースは、そういったブランドで作ってますね。でも、友達のブランドから買うことも多いですよ。ソファに掛けてあるタオルブランケットも『MYTONE』という友だちのブランドなんです」そういったブランドは、どうやって見つければいいのか。浅野さんが活用したのは「Instagram」。「普通に『地名+〇〇』みたいに、いろいろなキーワードで検索して、1回1時間くらいずっとリサーチします。ブランドだけじゃなくて、飲食店とか宿も同じように探してますね。気になったとこは、全部『Google Map』に保存しておいて、実際に行く。このとき、行った場所は『Instagram』のストーリーズにも載せるようにしてるんですけど、これは友達にも教えたいってのもあるし、投稿を見た友達が『ここもオススメだよ~』って逆に教えてくれることもあって、良いですよ。ありがたいです」*ただ可愛いからと買った照明。届いてみたら「想像以上に大きかった」そう「あとはブランド関係なくですが、私は『部屋に合うかな』とか、『この場所に置こう』とかは、買うときにはあまり考えてなくて。見た目が可愛ければ買っちゃいます(笑)」やっぱり直感的なモノの選び方をしている浅野さん。しかし、「部屋に合うかは考えてない」とは言うものの、ハッキリとしたまとまりを感じるこの部屋。何がこの部屋を調和させているのでしょうか。「たぶん、好きなテイストが自分の中で固まってるから、好きなモノを集めていったら自然と似たテイストにまとまったのかなあ。改めて見てみると、全部バラバラに買ってるはずなのに、曲線が多いとか、似た形が多いですね」「あとは、カラフルなアイテムが好きで。もともと緑とピンクが好きなんですけど、最近はそこにオレンジや黄色を加えたくなって。このカラーリングは自分の中ではよくやりがちですね」 全部経験になると考えると、失敗なんてない 直感を信じて物事を決めていく浅野さんですが、感覚的に道を選んでいるがゆえに想定とは違う道に人生が転がり出すことも珍しくありません。それは、この家のときも。「『美菜屋』を始めてからずっと怒涛の日々だったので、自分のための時間が作れていなかったんですよね。でも、『美菜屋』が組織化されて、私がいなくてもお店が回るようになった今なら、1人の料理家としてもっと自分の料理の研究ができるなあと。この家を職場兼自宅として、ここで自分用のお弁当をたくさん作ったり、いろんなバリエーションの食事を作ったりして生活してみたい。そう思って、デザイナーさんに内装を相談しながら作り上げたのがこの家なんですけど……完成してからすぐに2拠点生活を送ることになりまして、家にいる時間は少ないんです(笑)」 *3階にある衣装部屋。服を片づけるのが苦手なため、オープンクローゼットにしているそう実は浅野さんは、今年の8月に結婚したばかり。愛媛県でみかん農家を営むパートナーとの生活のため、現在は愛媛と東京の2拠点生活をしています。自身でも「まさか愛媛に行くなんて」と笑ってしまうほどの生活の変化ですが、それをえいやと飛び越え、新しい人生の道へと走り出すことができる強さが、浅野さんにはあります。それは「失敗を失敗とさせないようにしてる」からなのだそうです。「『美菜屋』を始めた頃は、いろいろな不安を抱えていた時期でもあって、意識的に新しいことに挑戦をしていました。その一つが「走ること」で、初めてフルマラソンに挑戦して、完走したんです。正直、完走なんてできないと思っていたので、走り切れたときは自分にすごく自信がつきました。それからは、何でもやってみようという気持ちになって、失敗を恐れずに飛び込めるようになりました。そのうち、自分の現在地もこれからの未来もすべて過去の行動や挑戦と繋がっているんだなと思ったんです。そう考えると、失敗なんてないんですよね。全部経験になるんだから」浅野さんのあり方は、楽観的に見えるかもしれません。しかし、だからこそ自分の直感を信じることができる。「リビングにある植物とか、買ったはいいものの、いざ部屋に持ってきたら高さがありすぎて入らなくて、切ったんですよ。失敗したかって思いましたけど、意外となんとかなるんですよね(笑)」 実際に体験して、感じたことが「自分だけの感性」 「実際に体験してみることが大事」と浅野さんは言います。「本やネットを通して知っているだけじゃ分からない感覚ってあるんですよ。だから、何でも実際に体験することが大事です。いろいろな場所に行って、体を動かしたり、見たり、人と話したりして、感じたことが自分だけの感性になるんだと思います。私も誘われたら何でも行きますし、周りのセンスが良いと感じる人たちもみんな、活動的な人が多いですね」難しいのは、そのきっかけをどう掴むか。浅野さんにとって、それはフルマラソンでした。「その人なりのスイッチが、きっとどこかにあるはず」失敗を恐れずに、まず行動してみること。浅野さんの纏うほどほどにゆるく、軽やかな空気感は、たくさんの行動の積み重ねから生まれているのかもしれません。「失敗なんてない」と聞くと、自分の普段の生活の範囲内からでもいいので何か新しいことに挑戦してみたくなります。「意外となんとかなる」と楽観的に考えることは、自分の生活に彩りを加えるアイデアだなと、感じました。 文:Daiki Hayakawa 編集:Takumi Inoue...
劣等感の幼少期、救いになった父の言葉 2016年9月に札幌でアパレルブランド「RANDEBOO(ランデブー)」を立ち上げ、以来同ブランドのディレクターをつとめているSEIKAさん。凛とした佇まいも印象的で、その生き方や考え方に共感するファンも多い。春から始動したオンラインコミュニティ「7sense(セブンセンス)」一期生の数は200人を越えた。そんな彼女が笑いながら語る、幼少期のほんのり苦い思い出。お姉ちゃんは傍目に見てもすごく可愛くて綺麗な人で、よくまわりから褒められてたんです。例えば親戚の集まりとかでもそう。一方の私はトイレで泣いたりしてて。お姉ちゃんの制服やランドセルを与えられて、「なんで?」って泣いたこともあって……だからかな、子どもの時は本当に自信がありませんでした。姉のことが嫌いなわけではなかった。でも、抱いてしまった劣等感は、ちくちくと彼女の何かを突っついた。モヤモヤとした気持ちが胸の中に渦を巻く。「私には何もないのかな?」そんなことはないと、丸まった背中を叩いて押してくれたのは父だった。そんな私をどこかで見てたのか、お父さんがずっと励ましてくれてたんです。「お前は天才だ!」「いけるぞ!」って言って(笑)。嬉しかったな。何か武器を身に付けさせたかったんでしょうね。いろんなことをやらせてくれて。ゴルフや釣り、父が言ったことは全部やりました。モデルをやっていたのも父の薦めです。まあ、私が知らないところでお姉ちゃんにも「お前は天才だ!」って言ってたんだろうけど(笑)どれぐらいの時間がかかったのだろうか。モヤモヤはいつしか消えて、代わりに父の真っ直ぐな言葉が胸の中に響く。丸まっていた背筋は伸び、うつむきがちだった顔も上がり堂々と振る舞えるようになった。根拠はないけど自信はある。それは何よりの原動力となる。 ネガティブな感情があるから頑張れるとこはあるかも? 私けっこう根に持つタイプなんですよ。「ランドセルお姉ちゃんのお下がりだった!」って今も言ってるぐらいだから(笑)幼少期のSEIKAさんにとって、6つ歳が離れた姉は羨望の的であり、子供心に嫉妬を覚える相手だったかもしれない。時が経ち、姉は今、RANDEBOOのメンバーとしてSEIKAさんと一緒に働いている。家族であり、自分を支えてくれる大切な存在だ。 私は失敗もめちゃくちゃしてる。でも、だからこそ── SEIKAさんは何でもまずはやってみる。父の薦めでやったことは数知れず。今も親しい友人の何気ない「これやってみたら?」を二つ返事で受け入れる。そして何でもやるからこそ、これまでに諦めてきたこともたくさんある。小学生から7年間打ち込んだゴルフは、「一打で全てが変わるプレッシャーに勝てなかった」。14歳から始めて高校卒業まで続けたモデルは、「何かが違うかもしれない」と自ら離れた。モデルを諦めた後は女優になると決めて東京へ行ったけれど、あえなく「ここでは一番になれない」と悟った。何か目的があるわけでもなく、やりたいことも定まらず、進学もしないまま高校卒業を迎えて数ヶ月。全力で何かに取り組むことはなく、どこか宙ぶらりんな日々を過ごした。ただ、何かをやり遂げられなかった自分を否定はしなかった。「それができないのが私で、その個性は潰したくない」と。何より経験のすべてを糧にしてきた。ありがたいことに「センスがあるね」って言ってくださる方が多いんですけど、見せてないだけで、陰でめっちゃ努力してるんですよ!センスって元から持っているものではなく、成功と失敗をたくさん知ることで得られるものだと私は理解してます。私は失敗もめちゃくちゃしてる。でも、だからこそ今の私がいるんだと思う。 山本正華からSEIKAへ。誰も知らない1人の朝。 SEIKAさんは何でも、辞めることをいとわない。何でもまずはやってみて、合わないと感じたら潔く辞める。捨てることを躊躇しない。執着しない。 そして何でも捨てられるからこそ余裕が生まれ、常に“新しいこと”を取り入れられる。この繰り返しのなかで成功と失敗を反芻し、自分なりの“良い感じ”を見つけて、それを大事にしてきた。例えば、去年から続けている朝のルーティン。気恥ずかしくて誰にも言ってこなかったそれは、「合掌から1日をはじめてみよう!」というもの。どういうわけかは自分でも分からないが、これだ!と直感したんだとか。起きてすぐに窓際に立って、カーテンを開けて日を浴びて、ちょっと伸びをして。そして外に向かって合掌するの(笑)言葉にするとすんごい変なんだけど、「今日もありがとうございます」って気持ちになれるんです。朝は自分のリズムでスタートしたいから、起きてすぐにスマホを触らないようにしてます。 季節によってはまだ外が薄暗いなかリビングへ。定位置の椅子に座って、お気に入りの音楽を聴きながら英語を勉強する。程よいタイミングでPCやスマホで連絡を返し、ちょっと慌てながらメイクの時間。着ていく服を決めたら、出掛けに眼鏡を選ぶ……というより「手前にあるやつをばっと取って家を出る(笑)」。ただし、出社する頃にはスイッチが入る。今日もまた、山本正華からRANDEBOOのSEIKAに切り替えて1日を始める。 知らない世界に飛び込む。あの日のように。 SEIKAさん、実はかねてから、海外移住を検討しているのだとか。今の段階で具体的な話があるわけではないそうだが、「いずれチャンスがあればしてみたい」とのこと。それはRANDEBOOにとっても、彼女の人生にとっても大きな“新しいこと”になるはずだ。知らない世界に飛び込んで、より多くの成功と、そして失敗を経験する。その刺激は、幼い頃に、大人びた服や小物が並ぶ姉と母のクローゼットを開けた時に感じたワクワクを思い起こさせるかもしれない。自分の知らないセンスに触れる瞬間だったあの時を。いつだったか、小学校に姉のヒールを履いて行って怒られたことを笑いながら話してくれたSEIKAさん。将来、海を渡る時が来るとして、その時も彼女はヒールを履いて小学校へ行ったあの日のように、前のめりになって、何かしでかすかもしれない。そしてそのことを、また笑いながら語ってくれるのだろう。 文:Yuuki Honda 編集:Takumi Inoue / Nami Nakagawa 写真:Naohiro Sawada
劣等感の幼少期、救いになった父の言葉 2016年9月に札幌でアパレルブランド「RANDEBOO(ランデブー)」を立ち上げ、以来同ブランドのディレクターをつとめているSEIKAさん。凛とした佇まいも印象的で、その生き方や考え方に共感するファンも多い。春から始動したオンラインコミュニティ「7sense(セブンセンス)」一期生の数は200人を越えた。そんな彼女が笑いながら語る、幼少期のほんのり苦い思い出。お姉ちゃんは傍目に見てもすごく可愛くて綺麗な人で、よくまわりから褒められてたんです。例えば親戚の集まりとかでもそう。一方の私はトイレで泣いたりしてて。お姉ちゃんの制服やランドセルを与えられて、「なんで?」って泣いたこともあって……だからかな、子どもの時は本当に自信がありませんでした。姉のことが嫌いなわけではなかった。でも、抱いてしまった劣等感は、ちくちくと彼女の何かを突っついた。モヤモヤとした気持ちが胸の中に渦を巻く。「私には何もないのかな?」そんなことはないと、丸まった背中を叩いて押してくれたのは父だった。そんな私をどこかで見てたのか、お父さんがずっと励ましてくれてたんです。「お前は天才だ!」「いけるぞ!」って言って(笑)。嬉しかったな。何か武器を身に付けさせたかったんでしょうね。いろんなことをやらせてくれて。ゴルフや釣り、父が言ったことは全部やりました。モデルをやっていたのも父の薦めです。まあ、私が知らないところでお姉ちゃんにも「お前は天才だ!」って言ってたんだろうけど(笑)どれぐらいの時間がかかったのだろうか。モヤモヤはいつしか消えて、代わりに父の真っ直ぐな言葉が胸の中に響く。丸まっていた背筋は伸び、うつむきがちだった顔も上がり堂々と振る舞えるようになった。根拠はないけど自信はある。それは何よりの原動力となる。 ネガティブな感情があるから頑張れるとこはあるかも? 私けっこう根に持つタイプなんですよ。「ランドセルお姉ちゃんのお下がりだった!」って今も言ってるぐらいだから(笑)幼少期のSEIKAさんにとって、6つ歳が離れた姉は羨望の的であり、子供心に嫉妬を覚える相手だったかもしれない。時が経ち、姉は今、RANDEBOOのメンバーとしてSEIKAさんと一緒に働いている。家族であり、自分を支えてくれる大切な存在だ。 私は失敗もめちゃくちゃしてる。でも、だからこそ── SEIKAさんは何でもまずはやってみる。父の薦めでやったことは数知れず。今も親しい友人の何気ない「これやってみたら?」を二つ返事で受け入れる。そして何でもやるからこそ、これまでに諦めてきたこともたくさんある。小学生から7年間打ち込んだゴルフは、「一打で全てが変わるプレッシャーに勝てなかった」。14歳から始めて高校卒業まで続けたモデルは、「何かが違うかもしれない」と自ら離れた。モデルを諦めた後は女優になると決めて東京へ行ったけれど、あえなく「ここでは一番になれない」と悟った。何か目的があるわけでもなく、やりたいことも定まらず、進学もしないまま高校卒業を迎えて数ヶ月。全力で何かに取り組むことはなく、どこか宙ぶらりんな日々を過ごした。ただ、何かをやり遂げられなかった自分を否定はしなかった。「それができないのが私で、その個性は潰したくない」と。何より経験のすべてを糧にしてきた。ありがたいことに「センスがあるね」って言ってくださる方が多いんですけど、見せてないだけで、陰でめっちゃ努力してるんですよ!センスって元から持っているものではなく、成功と失敗をたくさん知ることで得られるものだと私は理解してます。私は失敗もめちゃくちゃしてる。でも、だからこそ今の私がいるんだと思う。 山本正華からSEIKAへ。誰も知らない1人の朝。 SEIKAさんは何でも、辞めることをいとわない。何でもまずはやってみて、合わないと感じたら潔く辞める。捨てることを躊躇しない。執着しない。 そして何でも捨てられるからこそ余裕が生まれ、常に“新しいこと”を取り入れられる。この繰り返しのなかで成功と失敗を反芻し、自分なりの“良い感じ”を見つけて、それを大事にしてきた。例えば、去年から続けている朝のルーティン。気恥ずかしくて誰にも言ってこなかったそれは、「合掌から1日をはじめてみよう!」というもの。どういうわけかは自分でも分からないが、これだ!と直感したんだとか。起きてすぐに窓際に立って、カーテンを開けて日を浴びて、ちょっと伸びをして。そして外に向かって合掌するの(笑)言葉にするとすんごい変なんだけど、「今日もありがとうございます」って気持ちになれるんです。朝は自分のリズムでスタートしたいから、起きてすぐにスマホを触らないようにしてます。 季節によってはまだ外が薄暗いなかリビングへ。定位置の椅子に座って、お気に入りの音楽を聴きながら英語を勉強する。程よいタイミングでPCやスマホで連絡を返し、ちょっと慌てながらメイクの時間。着ていく服を決めたら、出掛けに眼鏡を選ぶ……というより「手前にあるやつをばっと取って家を出る(笑)」。ただし、出社する頃にはスイッチが入る。今日もまた、山本正華からRANDEBOOのSEIKAに切り替えて1日を始める。 知らない世界に飛び込む。あの日のように。 SEIKAさん、実はかねてから、海外移住を検討しているのだとか。今の段階で具体的な話があるわけではないそうだが、「いずれチャンスがあればしてみたい」とのこと。それはRANDEBOOにとっても、彼女の人生にとっても大きな“新しいこと”になるはずだ。知らない世界に飛び込んで、より多くの成功と、そして失敗を経験する。その刺激は、幼い頃に、大人びた服や小物が並ぶ姉と母のクローゼットを開けた時に感じたワクワクを思い起こさせるかもしれない。自分の知らないセンスに触れる瞬間だったあの時を。いつだったか、小学校に姉のヒールを履いて行って怒られたことを笑いながら話してくれたSEIKAさん。将来、海を渡る時が来るとして、その時も彼女はヒールを履いて小学校へ行ったあの日のように、前のめりになって、何かしでかすかもしれない。そしてそのことを、また笑いながら語ってくれるのだろう。 文:Yuuki Honda 編集:Takumi Inoue / Nami Nakagawa 写真:Naohiro Sawada